色図鑑
人物の色
松尾芭蕉 (Matsuo Basho)

松尾芭蕉 (Matsuo Basho)

江戸時代に活躍した日本の俳人、松尾芭蕉。自然を愛し、季節感や風景をとても大切にした作品には、独特の世界観が感じられます。彼の詩歌の中には、草木や空気、水や土といった自然の色を表現したものが多く、今回はそんな芭蕉が愛した自然の色についてご紹介致します。

萌黄色 (もえぎいろ)

日本の春の風景に欠かせない色、それが萌黄色です。芭蕉の俳句には「萌黄のどこかに日向あり」というものがあります。桜が満開になる頃、木々が新緑に染まるこの季節の色を表現したもので、若々しさや生命力を感じさせます。

素色 (すしろ)

素朴で清潔感のある美しさを表現する色、それが素色です。芭蕉の俳句には「柿のこすは素色にうつりけり」というものがあります。柿の皮を干したあとの美しい色を褒めた詩句で、自然が持つ美しさを素直に受けとめた芭蕉の感性が伝わってきます。

青磁色 (せいじいろ)

清涼感と静謐さを同時に感じさせる、上品な色合いの青磁色。芭蕉の俳句には「小芭蕉青磁の花瓶にて水やる」というものがあります。青磁の花瓶に水を注ぐ光景を表現し、青磁色が清らかな水面を演出する様子を描いています。この色合いは、芭蕉の句集「奥の細道」でもしばしば登場し、芭蕉の自然への愛情を証明します。

まとめ

松尾芭蕉は、自然の色彩に非常に敏感で、俳句や句集の中で色彩とともに季節の移ろいを表現しました。私たちが身の回りに感じる自然の美しさに敏感になり、芭蕉のように色にも季節にも感度の高い目を持っていきたいものです。