本格的なサバイバル体験がしたい人にオススメする小説

「サバイバル」と聞くと、自然の中での生存や、厳しい状況下での行動力と知恵の勝負を連想する人も多いだろう。そんな本格的なサバイバル体験をしたい人におすすめの小説を紹介する。

『ロード・オブ・ザ・フライズ』

イギリスの作家ウィリアム・ゴールディングによる小説『ロード・オブ・ザ・フライズ』は、飛行機事故によって無人島に漂着した少年たちのサバイバルを描いた作品である。初めは秩序ある行動をとっていた少年たちだが、野蛮化していく様子が描かれており、戦争をテーマにした寓話的な作品とも評されている。

この小説は、自然の厳しさや人間心理の暗部にフォーカスが当てられている。島での生存のために、少年たちは一致団結しているが、徐々に力や権力を握ることに執着するようになり、互いの関係性がズタズタになっていく。自分たち以外のものを相手にすることなく、自己犠牲を考えず、ただ自分たちが生き延びることだけを考える彼らの姿勢は、現代社会でもたびたび見られる人間の欲望を象徴している。

『ハチミツとクローバー』

小説家の東野圭吾による小説『ハチミツとクローバー』は、美術大学に通う主人公たちが、自分たちの進むべき道を模索していく青春物語である。本作品は、うつ病などの精神疾患で苦しむ人たちと、彼らを取り巻く人々の暮らしや葛藤、人間の生き方を描いた作品として高い評価を受けている。

主人公の立花と彼を取り巻く人々が抱える問題は、誰しもが抱えることのある悩みや葛藤である。しかし、それが美術の世界で生き抜くことを目指す若者たちだけに特化されたものというのは、小説ならではの発想である。美術大学での授業や作品制作、展覧会の準備といった思春期特有のもどかしさや切迫感、そして人間関係や恋愛など、青春時代に直面する様々な問題を体験することができる。

『永遠の一秒』

犬飼淳也による小説『永遠の一秒』は、人間の記憶や時間について、感動的に描かれた作品である。少女の死という悲しい出来事をきっかけに、過去の出来事を繋ぎ合わせ、人々が抱えるさまざまな感情とともに描かれている。

時間が振り仰げば、人々の過去や未来に身を置けるところが特徴である。小説の中での時間の移り変わりや、主人公・青木が思い返すあの日の映像には、過ぎ去った時間の儚さや、自分にとって大切な思い出の後に感じる淋しさが込められている。悲しみや切なさが共感を呼び、主人公・青木の思いを共有することができる。

まとめ

本格的なサバイバル体験をするのは、なかなか難しいことである。しかし、小説を通じて自分自身を高めることはできる。自然の中で、他者との関係性で、自分自身を見つめ直すきっかけや、感性や感動を深められることができることを知ったうえで、ぜひ小説に触れてみてほしい。